第一話 おきあがりこぼし

興正こども家庭支援センターでは、子育ての相談が寄せられます。日々、そこで感じたことを今回からお話させていただくことになりました。

新入学のこの季節、学校の教室に入れず泣いていた新1年生の女の子を思い出します。その子は初めてセンターに現れた時、お母さんの後ろに隠れていました。しかし、女の子が描く彩のある絵には、内面の力強さが伺われました。毎週一緒に遊ぶうちに、おままごとからかけっこへと活発な遊びに変化していき、同時にその力強さも垣間見れる機会が増えてきました。そんなある日、女の子はセンターの隅にあった起き上がりこぼしを叩いて倒す遊びを一人で繰り返した後「倒れても、立ち上がれるんだね」とぽつりと言ったのです。私は、その言葉を聞いた瞬間、もう大丈夫、と思えたのです。そして、翌週から女の子は泣かずに教室に入れるようになりました。

ところで、おきあがりこぼしは、なぜ起き上がれるのでしょうか。おきあがりこぼしは、底の中心におもりがあることで倒れても起き上がることができます。この女の子は、センターでの遊びの中で失敗してもまた挑戦できることを実感し、新しい世界に挑戦することは怖くないとわかった時に、もともと持っていた内面の力強さが自信となって立ち上がることができたのだと思います。

あの言葉は、今まで溜めていた内面のエネルギーが動き始めた瞬間だったのかもしれません。

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