第6話 雨にも負けず

いつからか育児放棄のような生活が続いて、だんだん子どもの問題行動が激しくなってしまい、ついに何もかも投げ出しそうになって「このままでは親子がだめになる」と相談に来たお母さんがいました。

私たちが毎週子どもと一緒に通って来てください、というとお母さんは翌週、約束どおり子どもと一緒に遠くから歩いてやってきました。何回か通ううち、子どもがセンターに行くのを楽しみにしていることを知ると、自分が疲れている時も雨の日も風の日も、お母さんは子どもと一緒に長い上り坂を二人で歩いてきました。センターにたどり着いたお母さんはいつもヘトヘトでした。

家庭では、今まで放置していた子どもの宿題を見てあげたり、プラモデルを夜通し一緒に作り完成させたり、一緒に何かをすることが増やしていきました。すると、初めのころは母親の変化に様子を伺う雰囲気だった子どもが、お母さんのためにお茶を持ってきてくれたり、しばらく言っていなかった「ただいま」を言うようになり、次第に親子のやり取りが温かいものに変わっていきました。

お母さんは、親子で協力して大変なことを乗り越える経験や、同じものを共に見て味わう体験を繰り返すことを通して、雨の日も風の日にも負けずに自分のつらさから逃げ出さず、子どもと向き合っていたのだと思います。

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